展覧会について

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展覧会について

中谷有逸(1936–2025)の作品世界は、半世紀以上にわたる創作の中で、
技法・素材・思想が大きく変化しながら深化していきました。
その歩みを最も立体的に示すのが「展覧会」です。
ここでは、書籍・図録・記録資料に基づき、作家の代表的な展覧会を再構成し、
作品の変遷が読み取れるよう加筆した一覧を掲載します。

1970s – 1980s : 形成期・探求期
1970s~

札幌時計台ギャラリー個展(複数回)

会場:札幌時計台ギャラリー(札幌)

中谷がもっとも頻繁に個展を開催した時期。合板を切り抜いたフォルムによる凹凸併用版が確立し、鳥・化石・遺物を思わせる有機的な形態の作品が数多く発表された。ステートメントでは「碑は私の道祖神」と語り、すでに晩年に続く思想的な基盤が形成されていた。

1982

第5回 北海道現代美術展

会場:北海道立近代美術館

《貌(かたち)》で優秀賞受賞。凹凸併用版の技術が成熟し、象徴的な形態の確立が広く評価された節目の展覧会。

1990s : 大作への展開・コラージュ
1995

見えざる碑像 中谷有逸展

会期:7月8日〜8月20日 / 会場:北海道立帯広美術館

書籍にも大きく掲載される代表的な回顧展。十勝移住以降の主要作が集められ、コラージュ(貝殻・紐・金属片)を取り入れた大作群が展示された。特に縦270cm×横540cmの《碑(海・蠕動)》は、合板の大曲線、ロープ、貝殻、黒土のようなマチエールが巨大なスケールで融合した、中谷芸術の象徴的作品。
またこの展覧会では、市民とともに制作した「四季の大地」をテーマとする大作4点(共同制作作品)が発表され、十勝という地域と強く結びついた作家の姿が明確に示された。

1998

中谷有逸展 ― 版の世界

会期:11月25日〜12月1日 / 会場:鹿追町民ホール

初期作品〜1990年代の凹凸併用版を体系的に紹介。凹部の黒と凸部の色が織りなす陰影、合板の形態の変化、マチエールの深化など、中谷の「版の造形言語」が明確になる展覧会であった。

2000s : ステンシルによる再出発
2000s

十勝・札幌での個展(複数)

会場:ギャラリーどらーる、札幌時計台ギャラリーなど

病後に転換したステンシル作品が初めてまとまって展示された時期。木炭粉・石粉・鉄粉・樹脂を練ったインクによる「土の壁画」のような重い画面が注目される。

2003~

「痕跡」「大地の神」「ノアの末裔」シリーズ発表

期間:2003年〜2007年頃

宗教対立・戦争・民族の歴史といったテーマが作品に取り込まれ、社会性を帯びた展覧会が続く。十勝の風景と神話的イメージが重なる「大地の神」シリーズもこの時期の展示で紹介された。

2010s : 古事記シリーズと回顧展
2012

版画集刊行記念・関連展示

会場:帯広市民ギャラリーほか

版画集『古代のかたち、色への憧憬』刊行に合わせて、代表作がセレクション展示された。

2014

中谷有逸展 YUITSU/碑を刻み、生命を謳う。

会期:10月3日〜12月3日 / 会場:北海道立帯広美術館
(※帯広市民ギャラリーとの2会場同時開催)

作家人生を総覧する最大規模の回顧展。初期の「鳥の碑」、凹凸併用版の黄金期、コラージュによる大作、ステンシルへの転換、そして晩年の「碑・古事記」シリーズ――これらが一堂に並び、中谷芸術の全貌が初めて明確に整理された展覧会である。学芸員による詳細な分析が図録に収録され、作品の思想的背景が体系化された。

2019

中谷有逸 展

会期:10月22日〜10月27日 / 会場:さいとうgallery(札幌)

晩年の個展。ステンシルによる厚いマチエール、赤黒の鉄粉による古代壁画のような画面が並び、「碑・古事記」シリーズの深化が示された。静かな小空間で行われたが、その内容は重厚で、晩年作品の方向性を象徴する展示であった。

これからの展覧会について(記念会の方針)

中谷有逸記念会では、作品の保存と公開を進めるために、
以下の展覧会企画を計画しています。

  • 地域美術館・ギャラリーでの企画展示 十勝・札幌・北海道内外の美術館と連携し、作品を公開する機会を広げる。
  • 作品テーマ別の小企画展 「凹凸併用版の時代」「古事記シリーズ」「大地の神」「鳥の碑」「素材とマチエール」など。
  • 教育普及プログラムとの連携 学校教育や市民講座と連動した展示・ワークショップ。
  • アーカイブ展 初期素描・版木・下絵・旅のスケッチ・未公開資料を公開し、作家研究の基盤を形成する企画。

今後の展覧会日程は、決定次第このサイトにてお知らせします。
展覧会開催に関心のある美術館・ギャラリー担当者様は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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